こんにちは、キャッシーです
今回は、内視鏡室で使用する「鎮静薬」「鎮痛薬」「拮抗薬」についてのお話です
「鎮静薬を使ったらどうなるの?」「何を観察するのか?」「鎮痛薬・鎮静薬の注意点は?」「拮抗薬ってなに?」などの疑問に答えていこうと思います
正しい薬の知識を身につけることで、苦しくない、安全な検査を患者に提供できます
〜このページでわかること〜
- 鎮静剤種類・特徴・取り扱い方
- 鎮痛剤の種類・特徴・取り扱い方
- 拮抗薬の種類・特徴
- 使用後の注意事項
鎮静薬
鎮静薬とは、眠気を誘う薬です
痛みや不安・不快なきもちを感じずに内視鏡をおこなうことができます
一般名 | 商品名 | 発現時間 | 作用時間 | 半減期 | 拮抗薬 | |
ベンゾジアゼピン系鎮静薬 | ミダゾラム | ドルミカム | 1〜2分 | 30分 | 1.8時間 | フルマゼニル |
ベンゾジアゼピン系抗不安薬 | ジアゼパム | セルシン ホリゾン | 15〜45分 | 2〜3時間 | 27〜28時間 | |
静脈麻酔薬 | プロポフォール | ディプリバン | 10〜20秒 | 5分 | 7時間 | なし |
ミダゾラムについて
- 舌根沈下による呼吸抑制が起こる可能性あります
- 救急カートや挿管の準備が必要です
- プロポフォールと比べて緩慢な入眠、緩やかな血圧低下があります
- 脱抑制と呼ばれる不穏状態に陥る可能性あります
- 追加投与で改善するが多いですが、追加するタイミングは最大降下時間を待って、それでも不十分なら追加投与を検討が必要です
- 鎮痛作用はありません
- 痛みを伴う場合は、鎮痛薬の併用が必要です
- 健忘作用あります
- 健忘:忘れるということ:検査前のことや検査中のことを忘れてしまいます
- 検査・処置に対する恐怖心、不快感が強い場合に有効です
- 処置のことを覚えていないので付き添う方へ説明も必要です
- 健忘:忘れるということ:検査前のことや検査中のことを忘れてしまいます
- 使用注意 アルコール依存
- 脱抑制になり興奮し暴れる可能性や耐性(効きにくい)の可能性あります
- 禁忌:急性狭隅角緑内障・重症筋無力症・HIVプロテアーゼ阻害剤内服中患者
ミダゾラムの取り扱い方
ミダゾラムは、向精神薬(第三種向精神薬)です
保管方法
- 薬・劇薬・麻薬区別し鍵をかけた場所で保管します
管理方法
- 定期的に在庫管理(定数管理)おこないます
- 使用した際には記録を残します(薬品名・数量・使用した日など)
破棄について
- 向精神薬(第三種向精神薬)の廃棄については、許可や届出の必要はありません
- 廃棄は焼却、酸、アルカリによる分解、希釈、他の薬剤との混合等、向精神薬の回収が困難な方法によりおこないます
- 使用した空アンプルは薬局へ返却しています
プロポフォールについて
- 速やかな意識消失と持続投与・反復投与後でも比較的速やかな覚醒を得られます
- 血圧低下がみられます
- 舌根沈下による上気道閉塞をきたすこともあります
- 救急カートや挿管の準備が必要です
- 鎮痛作用はありません
- 痛みを伴う場合は、鎮痛薬の併用が必要です
- 血管痛あります
- 卵・大豆アレルギーは使用できません
- 添加物に、ダイズ油・精製卵黄レシチンが含まれるため
- 禁忌:妊産婦
プロポフォールの取り扱い方
プロポフォールは劇薬です
白色の乳濁性注射液です
管理方法
- 凍結を避けて25℃以下保存します
- 他の医薬品等と区別して、貯蔵・陳列する必要があります
- 劇薬は、鍵のかかる場所に保管する必要はありません
破棄の方法
- 特別な規定はないため、空アンプルは破棄しています
鎮痛薬
鎮痛剤とは、痛みを一時的にやわらげる薬です
一般名 | 商品名 | 発現時間 | 作用時間 | 半減期 | 拮抗薬 | |
麻薬性鎮痛薬 | ペチジン塩酸塩 | 塩酸ペチジン オピスタン | 1分以内 | 2〜4時間 | 4時間 | ナロキソン |
非麻薬性鎮痛薬 | ペンタゾシン | ペンタジン ソセゴン | 2〜3分 | 3〜4時間 | 40〜35分 |
ペチジンについて
- 意識の消失なしで鎮痛作用がある 呼吸抑制があらわれます
- 咽頭反射の抑制もあります
ペチジンの取り扱い
ペチジンは、麻薬になります
使用時は麻薬処方箋が必要です
保管方法
- 他の医薬品と区別し、鍵をかけた堅固な金庫に保管しておきます
- 温室保存
破棄について
- 管理する麻薬につき、滅失、盗取、所在不明その他の事故が生じたときは、すみやかにその麻薬の品名及び数量その他事故の状況を明らかにするため必要な事項を、麻薬施用者、麻薬管理者あつては都道府県知事に届出なければなりません
- そのため、空アンプルや使用せず余った薬液は薬局へ麻薬処方箋とともに返却します
ソセゴンについて
- 呼吸抑制が発現します
- 悪心・嘔吐の副作用があります
- 薬剤の持続時間が長く、いったん副作用が出る際に改善するまで時間を要します
- 鎮痛作用ありますが、鎮痛作用の限界があります
- 疼痛が強く、非麻薬性鎮痛薬を追加投与しても鎮痛作用の限界を超えるてしますと効果は得られません
- 激しい疼痛を伴う処置や時間のかかる処置に対して非麻薬性鎮痛薬の使用は推奨していません
- 麻薬処方箋の発行がいりません
ソセゴンの取り扱い
ソセゴンは劇薬です
管理方法
- 劇薬は他のものと区別して貯蔵・陳列しなければなりません
- 施錠できる設備に保管する必要があります
拮抗薬
一般名 | 商品名 | 発現時間 | 作用時間 | 半減期 | 拮抗薬 | |
拮抗薬 | ナロキソン塩酸塩 | アネキセート | 3分 | 90〜120分 | 60分 | |
中枢性呼吸刺激薬 | フルマゼニル | アネキセート | 1〜3分 | 30〜60分 | 49〜52分 |
フルマゼニルについて
- ベンゾジアゼピンの拮抗薬です
- 意識状態を改善します
- 呼吸状態は必ず改善するとは限りません
- 作用時間が短く、意識が改善した後に鎮静薬の作用が再び出現する可能性がある
- ミダゾラムは代謝が早いためこの現象は起こりにくいです
- 必要な鎮静薬投与後の経過観察時間はしっかりとおこないます
- 不穏状態や痙攣を引き起こす可能性があります
ナロキソンについて
- 麻薬拮抗薬で、呼吸抑制に拮抗します
- 非麻酔性鎮痛薬の拮抗も可能です
- 鎮痛作用も減弱・消失してしまいます
- 作用時間が短く、呼吸状態が改善した後、呼吸抑制が再出演に注意が必要です
拮抗薬は作用時間が短いため、再鎮静・再呼吸抑制の出現には注意が必要です
鎮静薬・鎮痛薬の使用中の注意事項
内視鏡を受ける患者は不安や検査に対して恐怖を感じている方が少なくないです(特に胃カメラ未経験者)鎮静薬・鎮痛薬を使用することで、その気持ちをやわらげることができます
モニターやパルスオキシメーターし観察が必要です
検査を受けている患者の胸や腹部に手を当て呼吸をしているのか、呼吸回数は少なくないか、呼吸は浅くないかを常に観察しておきます
爪や唇の色確認しチアノーゼの有無を観察していきます
モニターの数字ばかりを見るのではなく、患者の状態を直接目で観察していきましょう
呼吸が浅くなったり、SPO2が低下していく場合は、耳元で名前を呼び、深呼吸を促します
医師に呼吸状態・SPO2の値を報告し、酸素投与や拮抗薬を投与するなどの対応が必要になってきます
使用薬剤の記載にてついて
鎮痛剤・鎮静薬を使用量や、どの程度効いたのかをカルテに記載しておき、次回検査の際の参考にしていきます
安全な治療を提供するために、危険を予測し、常に迅速で適切な対応ができるようにしておきましょう
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