こんにちは、キャッシーです
今回は【ピロリ菌】についてお話しします
「ピロリ菌ってどんな病気を引き起こすの?」 「ピロリ菌はどんな検査でわかるの?」「除菌はどんなことするの?」 「除菌後に内視鏡検査はなぜするのか」などの疑問に答えられるようにお話ししていきますね
ピロリ菌ってなに?
グラム陰性桿菌で、顕微鏡で見るとこのような形をしています
ピロリ菌に感染することで、粘膜に障害を与え、胃酸分泌能に影響し胃内の環境が変化してしまいます
ピロリ菌はどんな病気に関連しているの?
ピロリ菌の感染は生涯に渡って持続することが多いと言われています
以下の疾患の併発を引き起こすと言われています
ピロリ菌除菌をすすめている疾患
- 胃・十二指腸潰瘍
- ピロリ菌感染胃炎
- 胃食道逆流症
- 特発性血小板減少症紫斑病(ITP)
- 胃MALTリンパ腫
- 胃過形成性ポリープ
- 機能性ディスペプシア(ピロリ菌関連ディスペプシア)
ピロリ菌は、胃内で生きている菌です
ウレアーゼという酵素をもち胃酸を中和して生息しています
ピロリ菌との関連が推測される疾患
以下疾患は、十分なエビデンスはないが今後の臨床試験の結果によっては除菌治療を考慮していくものです
- 慢性蕁麻疹
- 胃びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)
- 直腸MALTリンパ腫
- パーキンソン症候群
- アルツハイマー病
- 糖尿病
ピロリ菌に感染しても自覚症状がありません
ピロリ菌感染→慢性胃炎→萎縮性胃炎→腸上皮化生→胃がんに進行することが報告されています
※腸上皮化生とは、胃の粘膜が腸の粘膜に似た状態になることで、胃がんの発症の可能性を示す初期兆候のことです
※萎縮性胃炎とは、長い間炎症が続いて胃粘膜の胃酸を分泌する組織が消失した状態です
なぜピロリ菌に感染しているかわかるの?
内視鏡による組織検査の場合
- 迅速ウレアーゼ試験
- ピロリ菌の酵素から作り出されるアンモニアを調べる方法
- 鏡検法
- 採取した胃粘膜組織を顕微鏡で観察する方法
- 培養法
- 採取した胃粘膜組織を培養し、ピロリ菌が増えるか調べる方法
ピロリ菌は胃内にいる場所いない場所が不均一なため、生検する場合は2カ所から粘膜を採取しています
内視鏡を使わない方法
- 抗体検査
- 採尿や採血によりピロリ菌による抗体の有無を調べ、ピロリ菌の感染しているかどうか確認します
- 便中抗原検査
- 便を採取しピロリ菌抗原があるか調べます
- 尿素呼気試験
- 呼気を用いて調べ、ピロリ菌に感染しているか調べます
抗菌薬・胃薬(PPIや P-CAB)によっては、ピロリ菌診断に影響が出る可能性があるため少なくとも2週間休薬が望ましいです
抗体検査法は、影響を受けにくいと言われています
なぜ除菌するの?
除菌することで、胃がんの予防効果が期待されます
また、胃・十二指腸潰瘍の再発の抑制や潰瘍が改善していきます
そして、ピロリ菌関連疾患の改善に関与しているためです
除菌のスケジュール
1次除菌療法(朝・夕7日間)内服します
胃薬(PPI)と抗菌薬2種類の3剤療法です
4週間以上期間をあけて、除菌判定を実施います
除菌ができた場合は(判定が陰性)除菌成功です
除菌ができなかった場合(判定が陽性)は2次除菌(朝・夕7日間)へと進みます
7日間内服した後に、4週間以上期間をあけて除菌判定をおこないます
除菌の注意点
除菌薬内服中は、一定の頻度で副作用症状が現れます
- 下痢・軟便
- 最も多い(10〜20%)
- 舌炎・味覚異常症(5〜15%)
- アナフィラーキシー
- 発疹
- 肝機能障害
軽い消化器症状であれば、7日間飲み続けてただし症状が悪化するようであれば内服を中止してもらいましょう
腹痛・血便・皮疹が出現した場合は直ちに中止しましょう
除菌判定
除菌薬内服後、4週間後に実施します
尿素呼気試験と便中抗原測定があります
除菌後は、ピロリ菌の数が減ります
そのため偽、陰性になる可能性があります
可能な限り再検査をすることが望ましいです
ピロリ菌の感染時期
ピロリ菌の感染時期は主に、乳幼児期でそれ以降の感染は少ないと言われています
家族間特に母子・父子菌の遺伝子が一致していることが多いです
家族に陽性者がいない子は、ピロリ感染を受ける可能性は低いと言われています
除菌後も内視鏡観察が必要
ピロリ菌に感染している胃は萎縮が進んでいるケースが多いです
萎縮が進んでいる場合は、胃がんになるリスクが未感染者より高く、除菌後も内視鏡検査が必要です
まとめ
ピロリ菌について解説してみました
除菌を青年期にすることで、家庭内感染を予防し次世代の感染対策として有効です
また、除菌後も定期的に内視鏡検査をおこなうことが推奨されています
未感染者に比べ現感染者の胃がんリスクは15倍以上です
萎縮が亢進する前に除菌することで、胃がん予防の効果は高いです
早めのピロリ菌の検査や除菌をすることが大切になってきます
ピロリ菌の知識をつけて、内視鏡看護師として今後も良い看護を提供していきましょう!
文献参照
2016年改訂版 H.pylori 感染の診断と治療のガイドライン
編集 日本ヘリコバクター学会ガイドライン作成委員会
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