こんにちは、キャッシーです!
今回は、色素検査についてお話ししていこと思います
「なぜ、色素を使うの?」「使用にあたって注意する点は?」「患者に説明することは何?」など疑問が解消できれば嬉しいです
色素検査の目的
異常を認める粘膜に色素を散布し、病変を識別しやすく・詳しく病態を把握します
使用する部位や病変により、色素方法を変えていきます
内視鏡診断をより正確にしていくために使用していきます
色素検査でわかること
病変の把握・病変範囲確認・深達度診断がわかります
禁忌と適応
◯ルゴール(ヨード)
ヨード過敏症・アレルギーがある患者には使用できません
色素検査の種類
コントラスト法
粘膜表面の凹凸の凹に色素液がたまることを利用して強調する方法です
- インジゴカルミン(0.4% 5ml アンプル)
- 青色
- 対象となる臓器:食道・胃・十二指腸・大腸
- 粘膜の陥凹部にたまることで病変の形態や粘膜表面の微細な凹凸を強調して観察します
- 散布前に、散布する粘膜をよく洗浄することが大切です
- 4〜5倍に希釈して使用します
生理食塩水に希釈して使用しています
(例:生理食塩水8ml +インジゴカルミン2ml)
- 酢酸+インジゴカルミン
- 早期胃癌の診断に使用します
- 酢酸散布後にインジゴカルミン散布します
- 酢酸を散布すると、癌部は戻りが早く赤みを帯びる・非癌部は白い状態になります
- 酢酸散布後にインジゴカルミン散布すると、癌部ではインジゴカルミンは消失するが、非癌部では付着しています
- 酢酸の使用濃度は、1.5〜3.0%で使用します
高濃度だと腸管壊死する可能性があるため濃度は必ずチェックしましょう
インジゴカルミンはよく使用される薬剤です
病変によっては、散布チューブを使用したり直接鉗子口にシリンジを接続し散布したりします
反応法
色素液が粘膜細胞の分泌物、粘膜内の特定物質と化学反応を起こします
- ルゴール(ヨード)
- 赤褐色
- 対象となる臓器:食道
- 散布後、正常な食道粘膜は黒褐色に染色されます
癌・異型上皮は染色されず黄白色の不染帯になります
(炎症でも染まらない場合もあります)
※扁平上皮の顆粒細胞層内にあるグリコーゲンとルゴールの反応によるものです
正常粘膜にあるグリコーゲンに反応して染色します
食道病変部はグリコーゲンが少なくなっています
- ルゴールは粘膜に刺激を与えます
- びらん・粘膜損傷を起こす可能性があり「胸焼け」「胸痛」として症状が出現します
症状は数時間〜1日続きます
誤嚥すると強いむせが出るため「胸が染みる感じがするのは、色素液によるものです」「喉にルゴールが上がってきても飲み込まないこと」と伝えることが大切です - なるべく少量を散布チューブ使用します
- 観察を終了したら、ファイバースコープで可能な限り吸引します
- 冷所保存しています
- びらん・粘膜損傷を起こす可能性があり「胸焼け」「胸痛」として症状が出現します
ルゴール散布後には、チオ硫酸ナトリウム(デトキソール)を食道へ散布します
ルゴールと中和し「胸焼け」症状が軽減します
デトキソール散布し忘れて検査終了してしまった場合は、咽頭麻酔が切れた時に、患者に内服してもらています
- クリスタルバイオレット(ピオクタニン)
- 青ピンク
- 対処となる臓器:小腸・大腸
- 主に大腸で使用されています
- 病変そのものを染色し腺管開口部(ピット)を観察することで腺腫・非腫瘍・癌の鑑別や深達度診断が可能です
※ピットとは、くぼみのことです
※腺管開口部とは、大腸粘膜で見られる、陰窩の開口部を指します - 少量で十分染色できる 量が多すぎると観察が困難になる場合があります
- 発がん性の問題が指摘されているため、使用する際は手袋装着し取り扱いましょう
なるべく散布チューブを用いて観察する部分のみ少量散布しましょう - 通常1%溶液で保存し、使用するときに20倍程度に希釈します
希釈液で保存すると、1週間程度で劣化してしまいます
嚥下内視鏡時に、着色水としてピオクタニンを希釈し使用しています
- コンゴーレッド
- pH3以下で黒青色 pH5以上で赤
- 対象となる臓器:胃
- 胃粘膜に付着させることで、胃酸分泌能を有する胃底腺粘膜の広がりを観察します
萎縮粘膜の広がりや、胃酸分泌領域を調べるために使用します
コンゴーレッドは、胃底腺分泌領域に散布した場合には黒くなります 胃酸はpH1〜2で強酸性です!
染色法
粘膜上皮への色素液の浸潤や吸収によって着色した状態を観察します
- メチレンブルー
- 青色
- 対象となる臓器:胃・十二指腸・小腸・大腸
- 腸上皮化生の診断に用いられます
※腸上皮化生とは、胃の粘膜が腸の粘膜に近い細胞に変化した状態のことです
胃がん発症の可能性を示す初期徴候として知られています - バレット上皮では非癌部は染色されます
バレット食道癌では染色されないことがあります
※バレット上皮とは、食道粘膜が胃粘膜に置き換わったバレット食道の細胞のことを言います
食道粘膜:扁平上皮 ➡️ 胃の粘膜:円柱上皮 に様々な理由で置き換わります
- トルイジンブルー
- 青紫色
- 対象となる臓器:食道・胃
- 食道の病変・深達度診断に用いられます
食道粘膜が欠損した場合、そこに付着した壊死物質を青色に染色します
使用する際には、散布部位を水で洗浄しておこなう必要があります - ルゴールと併用して使用されることが多いです
- 病変が進行していると濃く染色されます
早期であると薄く染色されます
色素液を散布すると、尿・便が色素液の色に着色されてしまいます
患者が驚かないよいうに、必ず説明しておきましょう!
血管内色素投与法
血管内に色素を投与し、臓器が色素によって発色する現象を観察します
・インドシアニングリーン(ジアグノグリーン)ICG
- 1バイアル中、インドシアニングリーン25mg
付属で溶解用注射用水10mlあり - 性状:暗緑青色塊状
- 術前マーキングとして使用しています
手術前に、内視鏡下で色素を粘膜へ注入します
腹腔内視鏡で実施する場合に、術中に病変部位がわかりやすいように実施しています - マーキングの際は、局注針でインドシアニングリーンを注入します
色素検査の流れ
- 準備
- 色素液を入れたシリンジ(10ml・20ml)
- 処置シリンジと静脈注射シリンジ間違えないように色を分けて使用しています
- ガーゼ
- 散布チューブ(色素液を散布チューブ内に満たしておく)
- 色素液を入れたシリンジ(10ml・20ml)
- 手順
- 散布したい病変を内視鏡画面で確認します
- 内視鏡施行医指示で、先端まで色素を満たした状態の散布チューブ渡す Or 色素を希釈し吸ったシリンジを渡します
- 散布チューブの場合は、内視鏡施行医指示で散布した量をカウントしながらシリンジを押して散布していきます
- シリンジ内の色素液がなくなった場合、エアーまで散布するのか確認します
- エアーをシリンジより入れることで、散布チューブ内の色素液を散布できます
- 色素の散布が終了したら、飛び散らないように散布チューブを鉗子口より回収します
色素液を散布する時、患者の私服が汚れてしまいます
色素が飛び散らないように、防護カバーを服の上にかけましょう
偶発症
- 使用する薬剤によるアレルギーが起きる場合があります
- 問診で、薬剤・造影アレルギーの有無を確認しておきます
- 使用量や高濃度が原因の組織障害が問題となる場合があります
- 最小限の量を散布しておくことが大切です
- 検査終了したら、可能な限り色素液を吸引していきます
まとめ
色素液を使用する目的は、正常粘膜・病変を疑う粘膜をわかりやすく診断するためです!
病変粘膜をわかりやすくすることで、生検検査の場所が明確にわかりやすくなります
分類 | 色素 | 特徴 |
---|---|---|
コントラスト法 | インジゴカルミン | 粘膜の陥凹部にたまることで病変の形態や粘膜表面の微細な凹凸を強調して観察します |
反応法 | ルゴール クリスタルバイオレット | 色素液が粘膜細胞の分泌物、粘膜内の特定物質と化学反応を起こします |
染色法 | メチレンブルー トルイジンブルー | 粘膜上皮への色素液の浸潤や吸収によって着色した状態を観察します |
血管内色素投与法 | インドシアニングリーン | 血管内に色素を投与し、臓器が色素によって発色する現象を観察します |
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